大丈夫しか言わない内気な部下の本音を引き出すにはどうする?

内気な部下とのコミュニケーションは、難しいと思われるかもしれません。
何も言わず黙々と働いているけど、何を考えているか分からず接しにくい。そんな風に思っている人もいると思います。
実は私は、その内気な部下の立場です。
だから、上司に本音を言いづらい気持ちはとても分かります。でも、私の職場には「思わず本音を言ってしまう」そんな上司もいました。
本音を言いやすい上司と、言いにくい上司―。その違いは何か?
内気な部下の立場から、部下の本音を引き出す方法を、お伝えします。
大丈夫しか言わない部下は本当に大丈夫?
私の会社には、とても優しくて頭のいい上司がいました。偉い立場の方だったので、直接は一緒に働いていませんでしたが、直属の上司でした。
私はその上司の事を、「理想的な上司だな」と思っていました。
でも、「偉い立場だから」という理由以外で、その上司と話すのはとても緊張をし、できるなら一日会わずに過ごしたいと思っていました。

私は内向的な性格なので、一緒にいて安心できる人でないと、緊張をしてしまいます。その理想的な上司は、素晴らしい人でしたが、心を許せて安心できる上司ではありませんでした。
ある時、忙しくて残業をしていた時がありました。なかなか仕事が終わらず、職場の皆で頑張っていたのですが、その時、「理想の上司」が、
「手伝うよ。何をしたらいい?」
と言って来て下さいました。
でも、正直なところ、理想的だけど苦手な上司が現れて、心の中で、
「手伝ってくれるのはありがたいけど、一緒に仕事するのは嫌だ・・・」と思いました。
すると、その場にいた一番上の先輩の方が、
「大丈夫です。ありがとうございます。」
と言ってくれました。

本当にその時は助かったと思いました。そしてその先輩に、とても感謝しました。実はその先輩も、その「理想的な上司」のことが苦手だったんです。
その時は、仕事の状況だけを見たら、少しでも人手が多い方が助かる、という状態でした。でも、一緒にいるととても緊張する上司と仕事するくらいなら、多少残業が伸びても、そちらの方が「絶対に良い」と先輩も思ったようです。
このように、良い上司だと感じてはいましたが、どことなく苦手な意識があったので、声を掛けてくれても「大丈夫です」と答えてしまっていました。
できるだけその上司との接する機会を避けたかったので、「何も問題はない」、そう伝えることが、一番の方法だと思ったんです。
部下が本音を言わない理由は?
実はその「理想的な上司」は、「本音」と「建て前」がとてもある上司でした。
私達に見せる「建て前」の部分は、とても理想的で、尊敬もしていました。
でも、「本音」の部分がどうなのかが分からなくて、怖かったんです。

ただ、上司という立場上、部下をうまく働かせる為に、本音を隠して、部下を誘導しようとする気持ちは理解できます。
感情的に部下に指示をしたり、怒ったりする上司より、何倍も良いです。
でも、「本音」を隠すその上司は、「ダメな部分」を部下に見せることが全くなかったので、「理想的すぎて親近感がわかない」「素晴らしすぎて怖い」という状態になっていました。
だから、私は、ただでさえ内気であまり人に本音を言わないのに、その上司に本音を言う、なんてことは、とても恐ろしくてできなかったです。

部下の本音を引き出すには?
でももし、その上司の方から本音を見せてくれていたら、私も本音を言いやすかったかもしれません。
というのも、この上司とは別の上司には、いつも本音で話していたからです。
その「本音を言いやすい上司」は、人間味があり、嘘をつけるタイプではありませんでした。だから、愚痴を言ったり、理不尽な事に怒ったり、感情をあらわにする事がよくありました。
でも、いつも部下の事を気に掛け、とても優しい上司でした。

その上司には、仕事で困っている事や理不尽に感じた事など、何でも話すことができました。あまり人には言えないような愚痴も、プライベートな悩みも、本当に何でも話していました。

また、部下だけでなく、他の部署の上司も相談しに来ていました。
でも、その「本音を言いやすい上司」は、有能ではありましたが、ダメな部分もたくさんありました。
例えば、整理整頓ができていなかったり、感情的になりすぎる部分があったり、もっと上の上司からの質問に答えられなくて頭が真っ白になったり、とても「理想的な上司」とは言い難かったです。
でも、そんなダメな部分が、部下からすると、親近感が湧いて話しやすいことに繋がっていました。

・「理想的だけど、本音を言いにく上司」
・「ダメな部分もあるけど、本音を言いやすい上司」
もし「どちらが良い上司か?」と聞かれたら、「理想的だけど本音を言いにくい上司」と答えるかもしれません。
でも一緒に働くなら、「ダメな部分もあるけど、本音を言いやすい上司」と答えます。
優しくて優秀で素晴らしい上司は、確かにすごいです。でも、本音を言いやすいのは、
- ダメな部分をされけ出せる安心感がある
- 仕事を円滑にまわす為ではなく、その人自身を気に掛けてくれる
そんな上司です。
「本音」と「建て前」は仕事をする上で必要なことかもしれません。でも、「本音」が見えなさすぎると、部下としても本音を言いにくいし、信頼して良いのか分かりません。
だから、上司の方から、
- 本音を見せる
- ダメな部分もさらけ出す
このようにしてもらえたら、本音を言いやすいです。そして、
- 部下を仕事の為に使うのではなく、その人自身の立場で気に掛ける
そうしてもらえたら、一気に上司への信頼が上がります。
私の「本音を言いやすい上司」は、いつも私自身の立場にたって考えてくれました。「仕事なんてどうにかなるから、、ゆっくり休んで」など、仕事を円滑にまわすことより、「私にとってどうする事が良いか」という視点で相談に乗ってくれていたんです。
そんな上司の事を、私は心から信頼していました。

今思えば、結局のところ、本音を言いやすい上司と仕事をすると、仕事の質問がしやすかったので、円滑に仕事を回すことができたんですよね。
「本音を言いやすい上司」は、もちろん、仕事を時間通りに終わらせることを意識していましたが、本音を言いやすいことで、自然と仕事が回りやすくなっていたと思います。
私のような内向的な部下は、扱いにくい部分もあったと思います。
でも「本音を言いやすい上司」と一緒に働けて本当に良かったと思います。この上司がいたから、私は働くことができました。他の人にとってはどうかは分かりませんが、内気な私にとっては、「本音を言いやすい上司」が一番でした。
大丈夫しか言わない内気な部下の本音を引き出すにはどうする?―おわり―
私は内向的な性格なので、上司に不満を言ったり、反抗をしたことは一度もありません。でもどのような上司に対しても、臆することなく、反抗をする人が職場にいました。
その人と私を足して2で割った人が、理想的な部下なんだろうな、そんなことをふと思いました。
コメントフォーム